(14)彼女のこと
熊本にお住まいのFacebook友達の女性が亡くなったと、同じFacebook友達の方からお知らせをいただいた。
彼女は私と同じパニック障害を患っていた。
「私はもう抜け出せそうよ」
と言うと、彼女は、
「私は、まだ最中なんです」
と答えた。
どちらがどちらに友達申請をしたのか、もう覚えていない。
しかし、私たちは病気を通じて理解を深めていった。
向精神薬は神経の働きを鈍くさせるため、太りやすくなる。
私も症状がなくなってきたなと思った頃、太っている自分に気がついた。
彼女も一時期急激に太ったと言うことで、マラソンを走ったり山登りをしたりしていた。
太るとどうしても血圧が上がる。
彼女は運動することで痩せ、血圧を正常値に戻した。
私は彼女の経験談から学び、ジョギングを始めた。確かに血圧は正常値になった。
彼女の書き込みはいつも明るかった。
この病気は自分で自分を奮い立たせ、明るく振る舞っていないと症状が後退する。
彼女はそのことを知っていたのだろう。
彼女の書き込みが見られなくなると私は彼女に連絡をした。
「あなたの書き込みがないと、寂しいわ」
すると彼女はこう言った。
「だって生活にあまり変化がないんですよ」
それでも時々、彼女が山登りしている書き込みなどを見て、頑張っているなと思っていた。
私と彼女の間には、まだまだ時間があると思っていた。
やがて会えるものと、私は信じていた。
しかし彼女は突然クモ膜下出血で、亡くなってしまった。
もはや彼女と私の時間は取り戻せない。
会いたいと思った時に、会っておけばよかったと今激しく後悔している。
しかし、こうも思えるのだ。
やがて私もあちら側に行く。
彼女が迎えに来てくれたら、きっと楽しいことだろう。
話したいことがいっぱいある。
たまっている思いがいっぱいある。
彼女と再び会えることを信じて、今私は精一杯生きていこう。