⑻治療開始までの道のり
私が精神科の受診を勧められたことを知った姑は、慌てた。
家族が精神科を受診することに抵抗があったようだ。恥ずかしいという一心だったのだ。
夫は多分、私と姑の間にそういうやりとりがあったことには気づいていない。
姑は私の精神科行きを全力で止めようと試みた。しかし、私は可能性がある限り治療にチャレンジしたいと思った。
精神科という名称に対する根強い偏見が私の前に立ち塞がったのだ。
生きることを諦めたくなるような様々な症状に苦しめられていた私は、覚悟を決めた。誰に反対されても構わない。もう、姑の期待する良い嫁である事はやめようと思った。
「世間体が悪い」と引き止める姑を振り切って私は精神科を受診した。
私にも精神科に対する偏見がなかったわけではない。それでも、精神科を受診するしか治る方法がないとすれば、受診したかった。
私の中にも精神科というと、おどろおどろしいイメージがあった。しかし実際に訪れてみると、柔和な笑顔を浮かべた50代の医師が私を迎え入れてくれた。